NEXUSとは
NEXUSとは「結節点」を意味する言葉です。異なる要素が交わり、新たな価値が生まれる場所。このアプリには、音楽学習における3つの結節点としての役割を込めました。
理論と実践の結節点
音楽理論を学ぶだけでは、実際の演奏や作曲に活かすことは困難です。「Cのメジャーコードはド・ミ・ソ」と知識として知っていても、実際に音を聞いて瞬時に判断できなければ、セッションや即興演奏では役に立ちません。逆に、理論を知らずに感覚だけで音楽を続けると、いずれ成長の壁にぶつかります。
NEXUSは、コード理論や音程の知識を、耳で聞き、即座に判断する実践的なスキルへと変換します。理論を学び、それを耳で確認し、鍵盤で答える。この反復を通じて、知識は身体に染み込み、真の音楽的理解へと昇華されます。理論と実践を結びつけることで、音楽は単なる知識ではなく、生きたスキルとなるのです。
音楽知能と他の知能の結節点
ハーバード大学の心理学者ハワード・ガードナー博士が1983年に提唱した多重知能理論(MI理論:Multiple Intelligences Theory)は、従来の単一的なIQ概念を覆す画期的な理論です。ガードナー博士は、人間には少なくとも8つの異なる知能が存在すると主張しました。
それは、言語的知能、論理数学的知能、空間的知能、身体運動的知能、音楽的知能、対人的知能、内省的知能、博物学的知能です。重要なのは、これらの知能は独立しているのではなく、相互に影響し合い、統合されることで、より高度な思考や創造性が生まれるという点です。
音楽的知能は、リズム、メロディ、ハーモニーを認識し、創造する能力です。しかし、音楽を学ぶことは、音楽的知能だけを鍛えるのではありません。コード進行のパターンを理解するには論理数学的知能が、楽譜や鍵盤の配置を把握するには空間的知能が、実際に演奏するには身体運動的知能が、自分の学習過程を振り返るには内省的知能が必要です。
NEXUSでは、音を聞いて分析する過程で論理数学的知能が、鍵盤の配置を理解する過程で空間的知能が、自分の進捗を振り返る過程で内省的知能が鍛えられます。音楽は、複数の知能を統合的に活用する、まさに「知能の結節点」なのです。
音楽と多分野の結節点
フランス・ヨハンソンの著書『メディチ・インパクト』は、イノベーションが生まれるメカニズムを解き明かした名著です。タイトルの「メディチ」は、15世紀イタリアのメディチ家に由来します。メディチ家は、芸術家、科学者、哲学者、詩人、建築家など、異なる分野の才能を一堂に集めました。その結果、フィレンツェはルネサンスの中心地となり、人類史上最も創造的な時代が花開きました。
ヨハンソンは、このような「異なる分野・文化・専門領域の交差点」でこそ、革新的なアイデアが生まれると主張します。単一の分野を深く掘り下げる「方向的イノベーション」も重要ですが、真に画期的なブレークスルーは、異分野の知識や視点が交わる「交差点」で起こるのです。
音楽は、まさにこの交差点に位置しています。学問的な基礎(数学、物理学、心理学、言語学、デザイン)を持ちながら、同時にあらゆる産業・分野と深く結びついています。
ビジネスの世界では、プレゼンテーションのリズム、ブランディングの調和、マーケティングの感情訴求に音楽的原理が活きています。テクノロジー分野では、AIの音楽生成、音響工学、信号処理が音楽と数学・物理学の融合です。医療・健康の領域では、音楽療法、リハビリ、メンタルヘルスに音楽が活用されています。教育の現場では、音楽を通じた学習法、記憶術、集中力向上が研究されています。エンターテイメント産業では、映画、ゲーム、広告の中で音楽が物語を紡ぎ、感情を増幅します。
NEXUSで音楽を学ぶことは、これらの分野で活躍するための基礎力を育てることでもあります。パターン認識、構造的思考、感性と論理の統合——これらは、どの分野でも求められる普遍的なスキルです。音楽は、多分野で活躍するための実践的スキルの基盤なのです。
音楽が結び付ける領域間のコンステレーション(星座)
そして、無限の可能性へ
NEXUSで実現したいこと
私たちは、NEXUSを通じて、音楽学習を単なるスキル習得ではなく、知的な冒険へと変えたいと考えています。理論と実践が出会い、音楽知能が他の知能と共鳴し、音楽が多分野と交差する。その結節点で、あなた自身の創造性とイノベーションが生まれることを願っています。
さあ、NEXUSで音楽の旅を始めましょう。
NEXUSが生まれるまで
3歳の頃、シンガポールの音楽教室に通い始めました。言葉もろくに通じない多国籍の子供たちの中で、音だけが共通言語でした。小学生になるとゲーム音楽やアニメの曲を片っ端から耳コピーするようになり、いつの間にか音楽の仕組みを感覚的に理解していました。
その後、音楽とはまったく異なる道を歩みました。大学では農学を学び、卒業後は食品商社や企画制作系のベンチャー企業でビジネスの世界に身を置きました。しかし、ある日訪れたライブバーでピアノと再会し、10年かけて趣味から演奏の仕事へとステージアップ。最終的にサラリーマン生活に区切りをつけ、音楽教育の道へ進みました。
音楽講師として200人以上、10,000時間を超える指導を重ねる中で、ひとつの確信が生まれました。耳コピーや聴音は特別な才能ではなく、正しい順序で鍛えれば誰でも身につけられる。その信念がNEXUSの原点です。
eラーニングからNEXUSへ
2019年に江古田Music Schoolを開校した直後、コロナ禍に直面しました。対面レッスンが困難になる中、オンラインで学べるeラーニング教材を開発。200人以上の方にご利用いただき、『分かりやすい』と好評をいただきました。
その経験を通じて、テクノロジーの力で音楽教育をもっと多くの人に届けられると実感しました。eラーニングで培ったノウハウと、現場での指導経験を融合させて生まれたのがNEXUSです。
江古田Music Schoolから
NEXUSは、江古田Music Schoolでの指導メソッドをベースに開発されています。初心者から音大卒のプロまで、一人ひとりのレベルに合わせた柔軟なレッスン設計で培った教育ノウハウが、このアプリの学習カリキュラムに反映されています。
開発・運営:岩倉 康浩(江古田Music School 代表)
銀座のラウンジピアニスト / 年間100冊の読書家 / 音楽とビジネスの二刀流